KNOWLEDGE HUB
薬草と植物
効能だけでなく、植物がどこで、誰に、どのように使われてきたのかを、歴史と安全性の両面から読みます。

2026.09.08
『喫茶養生記』から、なぜ桑だけが消えたのか|茶の湯・養蚕・流通の分かれ道
鎌倉時代の『喫茶養生記』には、茶だけでなく桑も繰り返し登場します。上巻は茶、下巻では桑粥、桑湯、桑葉、桑椹などを扱い、室町時代には、この本が「茶桑経」と呼ばれた記録まで残りました。 それなのに現在、「栄西が広めたもの」と…

2026.09.07
桑葉は食後血糖を下げるのか|DNJと人試験を読み解く
「桑の葉は、食後の血糖値の上昇を穏やかにする」。桑葉茶やサプリメントの説明で、よく見かける言葉です。 実際、桑葉には1-デオキシノジリマイシン(DNJ)という成分があり、糖質を分解する酵素の働きを妨げる方向に作用します。…

2026.09.06
桑はなぜ薬になったのか|養蚕・桑白皮・桑葉に重なった利用史
桑の葉は、蚕の餌になります。赤から黒紫へ熟す実は食べられ、木は道具や薪にもなる。その一方で、根の皮は「桑白皮(そうはくひ)」という生薬になり、葉、枝、実にもそれぞれ別の薬用名が与えられてきました。 一本の木から、なぜこれ…

2026.09.03
薬草とは何か|食べる植物・生薬・民間薬は、どこで重なり、どこで分かれるのか
春のヨモギは、草餅に入れば食べ物です。葉と枝先を乾燥し、一定の基原と品質を備えたものは「艾葉(ガイヨウ)」という生薬になります。さらに葉を砕いて毛を集めれば、灸に使う「もぐさ」です。 生姜も、台所では香辛料ですが、乾燥や…

2026.09.02
セントジョーンズワート|なぜ「気分の薬草」が、ほかの薬を効きにくくするのか
黄色い花の下で、細長い葉を光へかざします。葉の中には、針で開けた穴のような小さな透明点が浮かびます。セントジョーンズワートの学名 Hypericum perforatum にある perforatum も、この「穴が開い…

2026.08.29
ラベンダー|香りを嗅ぐことと、飲む薬は同じなのか
枕元へ置いた香り袋。湯気の立つ花のハーブティー。肌へ使う香料製品。小さなカプセルに入った経口製剤。 どれにも「ラベンダー」と書かれていても、身体へ入る成分、量、経路、品質規格は同じではありません。香りを嗅いだ研究で睡眠の…

2026.08.28
バレリアン|強いにおいの根は、なぜ「眠りの薬草」になったのか
袋を開けると、花の甘い香りではなく、土や熟成したものを思わせる強いにおいが立ちます。バレリアンの乾燥根です。人によっては不快に感じるほどの特有臭をもつこの根が、欧州では長く、心の緊張や眠りに関わる薬草として扱われてきまし…

2026.08.25
タイム|小さな香草は、なぜ「咳の薬草」になったのか
煮込み鍋へ、タイムの小枝を一本落とす。木質化した細い茎から小さな葉がほどけ、温かく、わずかに薬品を思わせる香りが立ちます。 この台所の香草は、欧州では「痰のからむ咳」に用いる伝統生薬としても整理されています。香りの中心に…

2026.08.23
セージ|「賢者のハーブ」は、本当に記憶を支えるのか
フライパンの中で、バターと一緒にセージの葉が縮れていく。銀緑色の葉から、樟脳を思わせる鋭さと、温かい苦みを含む香りが立ちます。 英語の sage には「賢者」という意味もあります。そのためセージは「賢者のハーブ」「記憶の…

2026.08.22
カモミール|なぜ二つの植物が、同じ「カモミール」と呼ばれるのか
カップの中に浮かぶ、白い舌状花と黄色い中心。乾いた花へ湯を注ぐと、甘く、リンゴを思わせる香りが立ちます。 私たちはそれを「カモミール」と呼びます。けれども、ハーブ売り場や精油のラベルには、ジャーマンカモミールとローマンカ…